数式を使わずに説明する。

以前、ブルーバックス量子力学にも書いてありましたし、Stephen W. HawkingやSteven Weinberg、さらには一般向けの啓蒙書を書く科学者の人たちの苦労が少しは分かった気がします。一般向けの啓蒙書で数式を使わないのは、「売れ行きが落ちるからである」とは、Dr. Stephen W. Hawkingが啓蒙書を書いている時に出版社の方から言われたそうです。多分、これは仮説ですが、数式が入ることによって、一般の読者の方々(特に想定される層として、一般のビジネスマン層や主婦層をターゲットにしているからでしょう)がアレルギーを持っているからであるという思い込みからもあると考えることは妥当でしょう。

この辺りの傾向が、理科系や技術系嫌いを生んでいるのかもしれません。確かに、社会に出ると、社会のルールであるとか、四則演算で事足りる局面の方が圧倒的に多いです。ゆえに、自分自身の生活に役立たない数学が敬遠される理由なのかも知れません。

確かに、多くの人たちにとって抽象的な数学というものは毛嫌いされる傾向にあるのかも知れません。なぜならば、学校で教わる数学というものが、ドリル形式の計算問題であったり、「実用的ではない」であるという理由からであると考えることは妥当でしょう。

しかし、数学的なものの見方というのは大切なような気がするのです。結局は、数学教育をしている人たちの受け売りになってしまうかも知れませんが、抽象化することによって、「楽に仕事を進めることができる考え方」であることの方が大切なような気がするのです。つまり、一段高いところから見下ろすと、一気に鳥瞰図的に見えてくるものがあるということなのです。

また、ビジュアルな芸術であるとか、音楽においては数理的なものの見方が以外にも新しいものの見方を生みます。人に心地よい音楽は1/fの揺らぎがあるとか、ビジュアルな芸術においても、かすかな「ぼかし(1/f)」というものが、深遠な雰囲気をかもし出すという事も考えてしまうのです。